湿った電子機器

それがワタシ

バレンタインデーとどう向き合えばいいですか?

 

バレンタインデー。

 

 

 

日本のイベントの中でも、明らかに格が違います。

 

 

 

ロマンチック過ぎます。

 

ロマンチックが、ホトバシっています。

 

 

 

まず、「意中の人へチョコを渡さなければならない」という、人権を完全に無視した驚異のレギュレーション

 

人の血が通った者が考えたとは思えません。

 

 

もうこれは、天使

 

ピンクの翼が生えてて胸元の開いた縦セタを着こなし、性欲が強くてヨガが趣味の天使が考えたとしか、思えません

 

 

 

 

そして、2/14という日付。

 

 

 

絶妙過ぎます

 

絶妙が、ホトバシってます。

 

 

 

冬のしつこい寒さに心まで凍てつこうとした頃、ちょうどよく人の温もりを得られるよう

 

 

計算され尽くしています。

 

暦に対し並の価値観を持つものが選出できる日付ではない。

 

 

 

もうこれは、変態

 

10/31生まれの女性と6/21に結婚して10/4に子供を授かると決めた1/3の純情な感情を持つ変態が考えたとしか、思えません

 

 

めちゃくちゃエモーショナルです。むしろエローショナル

 

いや、エロス。

 

 

エロスと言って差し支えない。

 

 

 

 

 

 

極め付きは、

 

上の「行為」と「日付」は、どうやって結び付いたのか?

 

という点

 

 

 

 

天使と変態が談合しなければ、バレンタインデーは成立しなかった。

 

その経緯すら、叙情的だったに違いない。

 

 

 

 

 

天使「ああ、とっても素敵なことを思いついたのだけど、どうやって流行らせばいいのかしら……」

変態「ああ、今日の日付は物凄く興奮する。どうすれば最高の日にできるだろう……」

 

天使「あら? あちらの殿方、頭にお花を挿していらっしゃいますわ。ふふっ、なんて可愛らしいのでしょう」

変態「おや? あちらのお嬢さん、顔が10/31生まれという感じだ。まさか……」

 

天使「まあっ、このお花を私に? 一体どういうことですの?」

変態「失礼だがお嬢さん、貴女の誕生日は10/31ではないだろうか。これは桔梗。10/31の誕生花だ――花言葉は、『永遠の愛』

 

 

 

 

 

 変態「今日もヨガをしているんだね。どうしてヨガをするんだい?」

天使「あら、ご存知ないの? 乙女というものはヨガをするの」 

 

変態「それは興味深い。ところで今日の日付が分かるかな」

天使「ふふ、貴方はいつも日付のことばかりね。6/21よ」

 

変態「……果たしてこの指輪を見ても、日付で頭がいっぱいと思うのかな。『ヨガの日』である今日に、プロポーズをすると決めていた」 

天使「……まあ! 私のことを、考えてくれていたのね」 

 

 

 

 

 

変態「頑張ったね。本当にありがとう」

天使「お礼を言うのは私の方よ。貴方の子が産めて幸せだわ」

 

変態「ああ、なんて愛おしいのだろう。君も、この子も」

天使「こんなときになあに? でも、本当に可愛いわね」

 

変態「まるで天使のようだ。今日という日にぴったりじゃないか、なぜなら――」

天使「10/4、『天使の日』だものね」

 

 

 

 

 

変態「今日は君と出逢った日だ……これを渡そう」

天使「これは、チョコレート?」

 

変態「いつか君が言っていた。想いを寄せる人に、チョコレートを渡すということを広めたいと」

天使「覚えていたの? ありがとう。でも、私は貴方とこの子がいれば、他に何も要らないのよ」

 

変態「一つの日付は、一年に一度しか訪れない。だから貴重なものになる……今日、2/14という日を、チョコレートを渡す日にしよう」

天使「……ふふっ、やっと少しわかった気がする。日付に惹かれる貴方の気持ちが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バレンタインデーは

 

 

 

ロマンチック過ぎます

 

手で破るという行為

が大好きなことに気付いたのは、ファミレスでバイトしているときでした。

 

 

 

お客様が少ない時間帯。

銀の円筒にドレッシングを流し込み、ラップで蓋をするという極めて無価値な作業をしていると突然、円筒に張ったサランラップが輝いて見えました。

 

 

 

 

極上のステーキを提供されたかのような、あるいは格調高いクラシックの演奏を聴いたような感覚。

 

 

 

 

円筒の穴にパッと張られたサランラップは、天井の明かりを反射してキラキラ光り、非常に滑らかな質感を感じさせました。

間違えてコラーゲンの膜でも張ってしまったのカナ……? と己の所業の異質さを反省しかけました。この店はどこから、なぜコラーゲンの膜を入手したのカナ……? と物流の不可思議に思いを馳せかけました。

 

 

圧倒的な魅力を湛えるサランラップをそっと撫でてみると、指先から快楽の電流がほとばしり、脳に直撃して絶頂して果てましたっつっ

 

柔らかい表面を夢中になってくにくにしていると、次第にサランラップはたわんでいき、容易く破れそうなシワを形成していく。

 

深く刻まれたシワはサランラップ本来の無垢な美しさをことごとく打ち砕き、不可逆の儚さを表現した新たな美しさが世界を席巻しました。

 

 

 

次々と表情を変えるサランラップに尽きない興味と戸惑いを抱えながら、僕には次のステージがぼんやりと見えていました。

 

 

 

 

 

 

「このサランラップに穴を開けたら、どうなってしまうの……?♡♡♡」

 

 

 

 

 

 

もはや青年の好奇心を止めるものは何もない。

テーブル席のお客様が呼び鈴をチーンチンチンチチチンチンチンポΩ\ζ°)チーン と鳴らしていましたが、それどころじゃない。

 

 

 

反るほど伸ばした人差し指に全神経を集中させ、サランラップに突き立てました。

 

 

僕の脳内で、グラサンをかけたドレッドヘアーのラッパーが佇んでいる。君も聴きたいか、このBeatを? 服を脱いで待っていなさい すぐに穴を開けるから、さあマイクを持って

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プスッ♡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スポットライト Come on...

 

 

 

 

 

 

 

ラッパー「yah とあるレストランの昼下がり 

     高圧電流のharmonyに Let's sparky

     Yo 自慢 欺瞞 肥満 詐欺 唾棄 

     滞るとこ全部吐き出して All right

     2-4 tableのお客様 中身ヘッズと思しき 能ある鷹? 

     いざ knockして rockして Dive into the dressing!」

 

 

 

 

 

 

 

それが、僕が「ものを破る」ということに魅入られた発端でした。思えば幼少期から、紙おしぼりを破ったり防災頭巾を破ったりと兆候はありました。

 

 

 

 

重要書類をシュレッダーするよう頼まれれば、僕の腕力が唸ります。シュレッダーなぞより細かく千切ってやろう。

 

 

 

僕は映画館スタッフになれません。

チケットをいちいちモギる役になると、快感で腰が抜けることでしょう。

 

 

 

一般人は物体を認識するとき、まず生物・無生物とか、有機物・無機物の分類から始めます。が、僕の場合は破れる・破れないです。

 

「うん、この細腕はモギれそうだな」

「むう、この筋肉を手こずりそうだ」

「久々にシャバの肉をつかめる」

 

そういった判断を経てはじめて、「で、こいつ誰だ?に移ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先日、弊社の社長が仕事中に発狂して突然オフィスから飛び出しました。

社員全員で鼻をホジって待っていると、トイザらスの袋を抱えて少年のような笑顔を浮かべた社長が戻ってきました。

 

 

 

 

「ビンゴ大会やろ」

 

 

 

 

彼がそう言い放った途端、オフィスは歓声で満たされました。

いい歳こいて、ビンゴ大会で大喜びするオトナ達。踏みつけられる重要書類。水槽で暴れる金魚。秩序の崩壊。

 

オトナ達は仕事を放棄してビンゴカードを取っていきます。

社長の表情は飼育員のそれでした。

 

 

かくして景品のないビンゴ大会が開催されました。

 

揃ったときの射幸心だけを求めて鼻息を荒げる社員を見て、「なんてエコな会社なんだろう」と心が温まります。

 

 

これだけ盛り上がっているところに水を差すのは無粋というもの。大して興味のない僕も、ビンゴカードを貰いました。

 

 

 

 

これが間違いだった。

 

 

 

紙を手に取った瞬間、全身の毛が逆立つような感覚に襲われた。

 

 

 

なんだこの紙は

 

この穴を開けられる為の構造をした紙は、なんだ

 

 

 

 

 

僕の脳裏で、今までのビンゴ大会の記憶が走馬灯のように駆け巡る。

 

 

幼少期――

 

読み上げられる番号を無視して狂ったように全ての穴を開けたかと思えば、

「揃いました。次のカードください」

とルール ガン無視の言葉を繰り返すhauro少年の姿。

 

周囲でビンゴ大会に興じる人々はその無慈悲な光景に恐れおののき、コウベを垂れ、涙を流し、しれっと景品交換を行う。

 

高笑いを続けた少年は興奮しすぎて気を失い、目が覚めると記憶を失っていた。

 

 

僕は、普段の温厚な自分とのギャップに苦しみ、あろうことかそんなビンゴ大会の記憶そのものを封じてしまったのです。

そしてビンゴカードを持った今、その封印が解かれてしまいました。

 

 

 

 

hauro「フウウゥウゥゥ……みンな、逃げテ……」

 

同僚「どうしたのhauro? ビンゴを一緒に楽しもうよ!」

 

hauro「ンンフゥウゥゥもウだメ……」

 

同僚「! hauroどうしたんだ! 数字も読み上げられていないのに穴を開けるなんて、気でも触れたのか!?」

 

 hauro「ンンンンン……!!」

 

同僚「ああっ……そんな……!」

 

hauro「ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛!!!!!!!」

 

同僚「hauro! なんてことだ……一列揃っちまったああ!! 景品何がいい?」

 

 

 

 

理性を失った怪物は次々とビンゴカードを手に取り、ひたすら穴を開けていく。

 

横一列の穴5箇所を人差し指を用いて連続で開ける「壱凛伍連撃」をカマしたかと思えば、紙面を撫で続けいつの間にか穴が開いている感覚を楽しむ「鈍法・【崩】」に移行する。

 

多種多様な技を駆使して相手を翻弄し、ドン引きするほど戦いを愉しむその姿はまさに

 

 

 

 

 

 

まさに……

 

 

 

 

 

まさに、アレ

 

 

 

 

 

 

うーん

 

 

 

 

 

 

ダンサー、です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや意味不明

 

 

 

『どんぐりころころ』の真相

 

どんぐり ころころ どんぶりこ

おいけにはまって さあたいへん

どじょうがでてきて こんにちは

ぼっちゃん いっしょに あそびましょう

 

どんぐり ころころ よろこんで

しばらくいっしょに あそんだが

やっぱりおやまが こいしいと

ないては どじょうを こまらせた

 

上記は日本において最も有名な童謡、『どんぐりころころ』の歌詞である。2019年に米○さんとか菅○くんとか羽生結弦がカヴァーーしたことで再び話題になったのが記憶に新しい。

 

私が今回この歌詞について思索する口火となったのは、たったひとつの小さな疑問であった。

 

 

 

「なぜこの歌は、バッドエンドなのだろう?」

 

 

ハッピーエンドがひしめく童謡界において、この唄は異質の存在である。

『犬のおまわりさん』も同じくバッドエンドではあるが、そちらは成犬が泣くというギャップがユーモアになっており、「ワンワン」と泣くパンチライン『犬のおまわりさん』を痛快なエンタメ作品に昇華させている。そうなんですか?

 

 

『どんぐりころころ』はいかがだろう。

前半で楽しい情景を描いておいて、後半は一転しての胸糞展開が待ち受けている。『犬のおまわりさん』のような爽やかな笑いなど起こるはずもなく、これで喜ぶのは厭世的なサディストくらいのものだ。膝カックンをお見舞いしてやりましょう。腕ボッキンでもいいです

 

 

 

これは児童向けの音楽にしては、あまりに湿り気が強すぎる。

 

 

この点について調査したところ、以下のような「幻の3番」と呼ばれる続編があることが分かった。『どんぐりころころ』の作曲者が付けた歌詞というのだから、公式と扱ってよいだろう。

 

どんぐりころころ ないてたら

なかよしこりすが とんできて

おちばにくるんで おんぶして

いそいでおやまに つれてった 

 

 

なるほどこれなら、児童を健やかな成長へと導く、爽快なハッピーエンドに仕上がっている。つまらん

 

しかし、この唄の公開時には二番までしか無かった。作曲者が世間の非難に苦しみ、仕方なく急ごしらえの歌詞を発表したと思えてならない。『どんぐりころころ』は、二番までで間違いなく完結しているのだ。

 

 

 

 

さて、私はこの唄に込められた真実の解明を試みようと思う。

 

なお、「山は人生を表しており、一度転落すれば戻れないことの比喩」などという稚拙で曖昧でゴミなメッセージ論に頼ることはないことをお断りする。あくまで『どんぐりころころ』という物語について、実際に何が起こったかを明らかにすると約束しよう。 

 

以下、茶番です 

 

 

 

・異種族の壁

 

まずは、この唄の大きな疑問点を挙げてみる。

難癖を付けようというのではない。一見隙のない歌詞の完成度に敬意を表し、作者が巧妙に隠したであろう謎を改めて確認する作業である。確認作業すき

 

 

なぜ『どんぐり』『どじょう』間で、コミュニケーションが成立しているのか?

 

童謡では、動物が喋ることは何ら不思議なことではない。

彼らは実際には、人間に理解できない言語を使用しているものの、童謡になる段階で人語に翻訳されている。児童が親しみ易いよう、細心の注意を払ってコミカルな演出が為される。

 

 

しかし、今回登場するのは『どんぐり』『どじょう』。一方にいたっては動物ですらない。いくら童謡といえど、ここまでかけ離れた生物間でのコミュニケーション、ましてや言葉でのやり取りなど有り得ない。私は10分もの時間を掛けて、植物が言語を操る童謡を探したが、結局見つからなかった。

 

 

導かれる答えはひとつ。二名は同じ種族ということである。

 

 

これを裏付ける証拠として、『どじょう』『どんぐり』の性別を即座に見抜くという点が挙げられる。

 

 

知っての通り、動物の性別を判断することは極めて難しい。人間に近しい猿やゴリラやミジンコでさえ、専門的な知識がなければ一目では分からないだろう。

そもそも『どんぐり』が例の硬い実を表すならば、性別などあるはずがない。末端の辺りにイキリ立つ男根がイキリ立っていたとしたら、この限りじゃないナリね~。

 

 

 

とはいえ、二名が他の動物であるとも考えづらい。

 

それぞれ『どじょう』『どんぐり』と固有名がつけられた動物だとして、そんな分かりにくい表現をするだろうか。どじょうとどんぐりにおよそ共通点が見当たらない以上、ウサギでも雀でもパンツでもおペニでも問題なかったワケである。

 

人間だとしても、この二つの苗字については馴染みが薄い。確か日本に5人ずつくらいしかいない。

 

 

さてここで、『どじょう』がひらがなであることに触れたい。触らせてください

 

児童向けなので泥鰌という難読漢字を出すわけにはいかないが、それこそ作者が狙ったミスリードである。作者は、全ての言葉がひらがなでも違和感がないよう、童謡という形式を利用したのだ。全ては『どじょう』の真の意味を悟らせない為に。そろそろ、何を意味しているか察しがつくだろう。

 

 

『どじょう』とは、『土壌』。すなわち土のことである。

 

土がどんぐりに向かって話しかけているという突飛な持論を掲げているのではない。

続いて明らかになる、衝撃の事実をお伝えする。

 

 

 

 

この唄の登場人物は、『どんぐり』と『どじょう』ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

幼馴染「エヘ、ビックリした?」

 

 

 

順に説明しよう。

 

まず、この歌詞は『どんぐり』『どじょう』が主語になっていなくても、成立することに注目していただきたい。「こんにちは」についても、『どじょう』が言ったとは明記されていない。つまり、全く別の登場人物が会話をしていても成立してしまうのだ。

 

それでは、この唄で会話してるのは、誰と誰なのか?

ここに全てを明らかにする【隠語説】を打ち立て、二人の正体を暴く。犬神アバク。


 

 

・二人の関係

 

【隠語説】の説明に入る前に、重要なヒントについてガム噛みながら言及しておきたい。

 

そのヒントとはクチャ一方が放ったクチャ、「こんにちは ぼっちゃん いっしょに あそびましょう」であるクチャモチャ

 

 

「ぼっちゃん」は通常、男児を指すことは自明だが、もうひとつの使い方にお気付きだろうか。

 

そう、ヤクザが若頭を呼ぶときも、「ぼっちゃん」なのである。

 

 

「ぼっちゃん」という呼称をしておいて、不自然に敬語を使っている点もこれで合点がいく。誘拐を目的とした犯罪者が、男児をできるだけ怖がらせない為の演出とも捉えられるが、後述する別の推理の説得力を信じて、今回は【誘拐説】の紹介をメンドイので割愛する。

 

 

 

二人の関係性が明らかになった。一方はヤクザの若頭、もう一方はその補佐である。

この事実を踏まえ、いよいよ【隠語説】を紐解くとしよう。

 

・【隠語説】の語る物語

 

二人はどこにいるのか?

場所について考察する上で参考にしたいのは、「おいけにはまって」の部分である。【隠語説】の名を冠しているのだから、単に池に入ってしまったとは勿論考えない。

試しに某ネット辞典「いけ」を検索してみると、早速大当たりだった。

 

読み方:いけ

  1. 監獄、分監。〔第五類 一般建物
  2. 刑務所を云ふ。
  3. 刑務所福井

 

これ以外のソースが見つからなかったので真偽にいささか不安が残るが、ここは無理矢理信じることにします☆  

 

「ぼっちゃん」はなんと、刑務所に入れられていたのだ。

 

【隠語説】はその罪状まで明らかにしてくれる。この唄の題名にもなっている「どんぐり ころころ」。これこそまさしく、ぼっちゃんが為した犯罪全てだ。

 

「どんぐり」は残念ながら、それらしい隠語が世間で使われているわけではなかったが、その特徴が手がかりとなってくれた。

 

どんぐりは堅い皮に包まれた種実類。別名を堅果(けんか)という。

 

 

 

もうお分かりだろう。「ぼっちゃん」は喧嘩に明け暮れたのだ。ヤクザという立場からも不自然な考え方ではない。そして「ころ ころ」についてだが……ここで語るには忍びない。私の口からはとても言えないので、皆様の想像力が逞しいことを期待する。

 

「どんぶりこ」とは?

「殺殺」のあとに突然繰り出される「どんぶりこ」という謎の単語。日本人の9割が「どんぐりこ」と誤って覚えていたことからも、馴染みのなさが伺える。

これも辞書に明確に意味が記されており、

 

1.水に音を立てて落ちるさま。
2.女子高生のうなじ付近に発生するDream harmony.

 

であるという。2は嘘

 

 

 

しかし、舞台が池などではないことは証明済み。ではなぜ、こんな言葉が挿入されているのか。

 

何を隠そう、これこそ「ぼっちゃん」の名称である。即ち、「ドン・鰤仔」。若頭に相応しい、なんとも威厳のある名前だ。

 

 

「どじょうがでてきて」の謎

 

一番の難所と思われていた「どじょうがでてきて」の部分であるが、舞台が刑務所であること、若頭補佐が直接会いに来たことを加味すると、自ずと真相が見えてくる。

 

 

「ドン・鰤仔」はその凶暴さから独居房に収容されていたことは間違いない。

ある日、冷え切ったタイル張りの床からゴトゴトと奇妙な音が聴こえた。身構える間もなくタイルは外れ、文字通り「土壌が出てきた」――中から現れた見覚えのある男は、微笑みながら例の言葉を紡ぐ。

 

 

何をしてあそんだのか?

自らの身も顧みず、ただ「ドン・鰤子」の為に刑務所に侵入した若頭補佐。無論、ままごとをしに来た筈がない。【隠語説】に則り、「おやま」の解明をすれば答えは出てくる。ニョキニョキ

 

 

 

「おやま」とは、女形のことである。

 

「ドン・ブリ子」は元来、男色家であった。特に女装をする男に目がなく、彼らと昼夜を問わず「あそんで」きた。理解のある仲間に恵まれたが故に、隠すこともなかったのだ。

 

 

……若頭補佐の目的は、「ドン・ブリコ」と「あそんで」慰めることだった。「ドン・ぶりこ」は、直後に涙を流した。

 

涙の雫は土壌に染み込み、乾いた土を「こまらせた」。

 

 

 

 

なんとも粋な歌詞である。ここにきて隠語に頼らず、詩的な表現を用いたのは、これを『唄』として成立させる為だ。なんとしても、彼らはこの唄を広めなくてはならない。その目的、これまでの詳細を、「どん・ぶりこ」に語っていただこう。

 

 

「ドン・鰤仔」の表記の変化に気付きましたか? アハ体験です

 

 

 

 

 

・この唄を広めろ

 

 俺は腕っぷしも頭脳も、男も手に入れて満たされた人生を送ってきた。『大鰤の親分』として恐れられた親父の息子として、随分慕われてきた。

 今更ムショにブチ込まれたところで悔いはない。若い衆は上手くやるさ。無茶やる俺を支えてきた優秀なヤツらだ。俺は、ここで余生を過ごすことに決めたんだ。

 そう思ってるときだった。突然目の前の床がガリガリ鳴りだした。モグラでも迷い込んだのかと思って覗き込むと、見覚えのある土塗れの男が顔を出した。

「……っ」

 言葉に詰まる俺に、アイツは嫌に柔らかい笑顔を見せやがった。

「こんにちは、坊ちゃん」

 

「てめえ、何で来やがった。看守に見つかったらどうすんだ」

「寂しいかと思って」

「バカやろう、早く帰れ」

「そんな、坊ちゃんを置いてくなんて」

 だめだ、話にならん。こいつはこうなったら聞きやしねえ……考えろ。こいつが捕まる前に、素直に帰らせるには。

 

「お前じゃ……だめなんだ。おやまが、恋しい」

 どうやら俺が戻ると決めねえと、こいつは納得しねえようだ。

「いいか、お前に唄を伝える。これを外に出て歌い続けろ。俺のことを書いた唄だ。この唄が有名になりゃ、俺は評価されてムショから出す要望が集まるだろう。そしたら看守共は、俺を出さねえワケにはいかねえ。わかるか?」

「へえ、わかります」

 我ながらメチャクチャなこと言ってるが、こいつを諭すには十分だったようだ。

「さあ、できるだけ楽しそうに歌って帰れ。外を散歩しながら、誰の耳にも入るように。お前は事務所に帰る頃には歌詞を忘れてるだろうが、道中で聞いた誰かがまた唄を広めてくれる」

「へえ、へえ。かならず広めますよ」 

 

 ―――――――――――――――――――――――

 

 

 

この唄は有名になった。彼はもしかしたら、その後元気に、『どんぐりころころ』できたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なワケない

 

 

 

 

 

 

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。